立ち上がると腰が痛いのはなぜ?原因と対処法を理学療法士が解説

query_builder 2026/10/01
立ち上がると腰が痛いのはなぜ?原因と対処法を理学療法士が解説

「椅子から立ち上がる瞬間に腰が痛い」「長く座ったあと、動き始めると腰がつらい」と感じていませんか。立ち上がるときの腰痛には、腰だけでなく、身体の前方への移動や股関節・膝の使い方、座っている時間、椅子の高さなど、さまざまな要因が関係します。大切なのは、立ち上がり方だけが原因と決めつけないことです。この記事では、立ち上がると腰が痛む原因やセルフケア、理学療法士が確認するポイント、医療機関を受診する目安までわかりやすく解説します。


立ち上がるときに腰が痛いのはなぜ?

椅子から立つ瞬間に腰が痛むことがある

椅子やソファから立ち上がるときは、座った状態から身体を前へ移動させ、お尻を座面から離して身体を持ち上げます。そのため、腰だけでなく、骨盤や股関節、膝、足などさまざまな部位が関わります。立ち上がる瞬間に腰が痛む場合でも、「腰が悪い」「立ち方が悪い」と一つの原因に決めつけることはできません。身体を前へ動かしたとき、お尻が離れたとき、立ち切るときなど、どの段階で痛むのかを確認することが大切です。


長く座ったあとの動き始めに痛む場合もある

普段は問題なく立ち上がれるのに、デスクワークや車の運転などで長時間座ったあとだけ腰が痛む人もいます。この場合は、立ち上がる動作だけではなく、その前にどのくらい座っていたのかも重要な情報です。「座った直後は痛くないが、長時間座ると痛い」「立ったあと少し歩くと楽になる」など、時間や動作による症状の変化も確認しましょう。


立ち上がると腰が痛くなる主な原因

立ち上がるときに腰へ負担が集中している

立ち上がる動作では、身体を前へ移動させてから、お尻を座面から離して身体を持ち上げます。このときの身体の使い方によっては、腰周辺に負担を感じやすくなる場合があります。ただし、「腰を使って立つから腰痛になる」と単純に考えることはできません。足の位置や身体の前方移動、股関節・膝の使い方なども含め、どのような立ち上がり方で症状が出るのかを見ることが重要です。


股関節や膝を十分に使えていない

椅子から立ち上がる際には、股関節や膝、足など下半身も使います。人によっては、股関節や膝の動きが少なかったり、左右どちらかへ体重が偏ったりすることで、特定の部位に負担を感じることがあります。そのため、腰痛があるからと腰だけを見るのではなく、下半身をどのように使って立ち上がっているかを確認することが大切です。


長時間同じ姿勢で座っている

デスクワークや運転などで同じ座り姿勢が長時間続いたあとに、立ち上がる瞬間だけ腰が痛むことがあります。この場合、立ち上がり方だけを変えるのではなく、座っている時間にも目を向ける必要があります。可能であれば、途中で立つ、少し歩く、座る姿勢を変えるなど、同じ姿勢が長時間続かないようにすることも対策の一つです。


椅子の高さや座る位置が動作に影響している

立ち上がる動作は、使用する椅子によっても変わります。例えば低い椅子やソファでは、立ち上がるために身体を大きく前へ移動させたり、股関節や膝を大きく動かしたりする場合があります。つまり、椅子の高さによって立ち上がる際の身体の使い方や負担が変わる場合があります。ただし、「低い椅子だから腰痛になる」とは限りません。普段使用している椅子や座る位置によって症状が変わるか確認することがポイントです。


立ち上がるときの腰痛を繰り返すとどうなる?

椅子から立つなど日常動作がつらくなることがある

立ち上がるたびに腰痛を繰り返すと、椅子やソファから立つ、トイレから立ち上がる、車から降りるなど、日常のさまざまな場面がつらくなることがあります。痛みを我慢して同じ動作を続けるのではなく、どの場所やタイミングで症状が出やすいのかを確認しましょう。痛みが長く続いている場合は、自己流の対策だけで様子を見続けないことも大切です。


痛みへの不安から活動量が減ることもある

「立つとまた腰が痛くなる」と考え、立ち上がる回数を減らしたり、外出や家事を避けたりすることがあります。痛みが強いときに無理をする必要はありませんが、必要以上に身体を動かさなくなると活動量が減る場合もあります。立ち上がること自体を避けるのではなく、症状に合わせて動作や環境を調整することが重要です。


立ち上がると腰が痛いときのセルフケア

足の位置や座る位置を調整する

立ち上がるときに腰が痛む場合は、まず足の位置や椅子に座る位置を変えて、症状がどう変化するか確認してみましょう。例えば、足が身体から離れている場合は少し手前へ引く、椅子の奥に座っている場合は座る位置を変えるなどの方法があります。ただし、「この位置が正しい」と一律に決める必要はありません。動作を変えたときに腰痛が軽くなるか、立ちやすくなるかを確認しながら調整しましょう。


身体を前へ移動してから立つ方法を試す

椅子から立つ際は、身体を少し前へ移動させてから立ち上がる方法もあります。身体の位置が変わることで、股関節や膝、足への体重のかかり方が変化し、立ちやすくなる場合があります。ただし、前へ身体を倒せば必ず腰への負担が減るわけではありません。前かがみになることで腰痛が強くなる人もいるため、痛みを我慢して特定の立ち方を繰り返さないようにしましょう。


椅子の高さを見直す

椅子の高さによって、立ち上がる際の身体の使い方や負担が変わる場合があります。特に低い椅子やソファでは、立ち上がるために身体を大きく前へ移動させたり、股関節や膝を大きく曲げたりすることがあります。立ち上がるときに腰が痛む場合は、高さの異なる椅子で症状が変化するか試してみるのも一つの方法です。ただし、低い椅子そのものが腰痛の原因とは限りません。自分が立ちやすく、痛みが強くならない高さを確認しましょう。


長時間座り続けずこまめに身体を動かす

長く座ったあとに立ち上がると腰が痛む場合は、座っている時間を見直すことも大切です。仕事中でも可能であれば、定期的に立つ、少し歩く、座る姿勢を変えるなど、同じ姿勢が続かないようにしましょう。「腰痛があるから座って休み続ける」のではなく、症状が強くならない範囲で身体を動かすことがポイントです。動くことで腰痛が強くなる場合や、お尻・脚に痛みやしびれが広がる場合は、無理に続けず医療機関への相談も検討してください。


立ち上がりの腰痛が改善しにくいケースと医療機関を受診する目安

セルフケアをしても腰痛を繰り返す場合

足の位置や座る位置を変える、椅子の高さを調整するなどの工夫をしても、立ち上がるたびに腰痛を繰り返す場合は、セルフケアだけでは十分に対応できないことがあります。痛みが長く続いている、徐々に悪化している、仕事や日常生活に支障が出ている場合は、自己流の対策だけを続けず、医療機関への相談を検討しましょう。


医療機関への受診を検討した方がよい症状

腰痛に加えて、お尻や脚の痛み・しびれ、脚に力が入りにくいなどの症状がある場合は、医療機関への相談を検討しましょう。また、安静にしていても強い痛みが続く、症状が徐々に悪化している、発熱を伴う、大きな転倒や事故のあとから腰が痛むといった場合も、立ち上がり方だけの問題と自己判断せず、医療機関で状態を確認してもらうことが大切です。


速やかに医療機関を受診した方がよい症状

腰痛とともに、排尿・排便がしにくい、尿や便を漏らす、股やお尻の周辺に感覚の異常がある、両脚に強いしびれや力の入りにくさが現れた場合などは注意が必要です。このような症状には緊急性の高い状態が含まれる可能性があります。セルフケアで様子を見続けず、速やかに医療機関を受診してください。


理学療法士は立ち上がり動作のどこをみる?

立ち上がりのどの段階で腰が痛むのか確認する

理学療法士が立ち上がるときの腰痛をみる際は、「立つと痛い」という情報だけで判断するのではなく、動作のどの段階で症状が現れるのかを確認します。座っている時点ですでに痛むのか、身体を前へ移動させたときに痛むのか、お尻が座面から離れる瞬間に痛むのか、身体を伸ばして立ち切るときに痛むのかなどを確認します。また、立った直後だけ痛く、その後歩くと楽になるなど、動作後の症状の変化も重要な情報です。


身体の前方移動や足への体重移動を確認する

立ち上がる際には、身体を前へ移動させながら足へ体重を移し、お尻を座面から離していきます。そのため、身体をどの程度前へ移動させているか、左右の足へどのように体重をかけているかなども確認します。ただし、左右差や特定の動きがあるだけで腰痛の原因と判断するわけではありません。動き方を変えたときに痛みや立ちやすさがどう変化するかも含めて評価します。


腰・骨盤・股関節・膝の動きを確認する

立ち上がりは腰だけで行う動作ではなく、骨盤や股関節、膝、足など下半身全体が関わります。そのため、股関節や膝がどのように動いているか、腰周辺に負担を感じやすい動きになっていないかなどを確認します。一つの関節の硬さや筋力だけを原因と決めつけず、実際の立ち上がり動作や症状との関係をみることが大切です。


椅子の高さや日常生活での立ち上がり方を確認する

施術室では問題なく立てても、自宅のソファや職場の椅子、車など特定の場所では腰が痛むことがあります。椅子の高さによって立ち上がる際の身体の使い方や負担が変わる場合があるため、普段使用している椅子の高さや座る位置なども確認します。身体の状態だけでなく、実際に腰痛が起こる環境まで確認することが、その人に合った対策を考えるうえで重要です。


立ち上がるたびに腰が痛む方は当院へご相談ください

立ち上がるときの腰痛は、腰だけでなく、身体の前方への移動や股関節・膝の使い方、椅子の高さ、座っている時間など、さまざまな要因が関係する場合があります。当院では、実際の立ち上がり動作や身体の状態、日常生活で痛みが出る場面などを確認し、一人ひとりに合わせた施術やセルフケア、身体の使い方をご提案します。「椅子から立つたびに腰が痛い」「長く座ったあとに痛みを繰り返す」とお悩みの方はご相談ください。症状によっては医療機関での診察をおすすめする場合があります。


立ち上がると腰が痛いときのよくある質問

Q1 椅子から立ち上がると腰が痛いのはなぜですか?

立ち上がるときの腰痛には、身体の前方への移動や股関節・膝の使い方、座っている時間、椅子の高さなどが関係する場合があります。一つの原因に決めつけず、立ち上がりのどの段階で痛むのか確認することが大切です。

Q2 長時間座ったあとに立つと腰が痛いのはなぜですか?

長時間同じ姿勢で座ったあとに、動き始めで腰痛を感じる人もいます。立ち上がり方だけでなく、どのくらい座っていたのか、立ったあと歩くと症状が変化するのかなども確認し、長時間同じ姿勢を続けないようにしましょう。

Q3 腰が痛いときはどのように立ち上がればよいですか?

足の位置や座る位置を調整し、身体を前へ移動させてから立つ方法などがあります。ただし、すべての人に共通する「正しい立ち方」があるわけではありません。動き方を変えて、痛みが軽くなるか、立ちやすくなるかを確認しましょう。

Q4 立ち上がるときの腰痛にはストレッチがよいですか?

ストレッチで楽になる場合もありますが、すべての腰痛に同じ方法が適しているわけではありません。痛みを我慢して強く伸ばすことは避け、ストレッチによって腰痛や脚の痛み・しびれが強くなる場合は中止してください。

Q5 立ち上がると腰が痛い場合は病院へ行くべきですか?

腰痛が続く・悪化する場合や、脚のしびれや力の入りにくさを伴う場合は医療機関への相談を検討しましょう。排尿・排便の異常や股周辺の感覚異常、両脚の強い症状などが現れた場合は、速やかな受診が必要です。



参考文献

  1. 日本整形外科学会・日本腰痛学会「腰痛診療ガイドライン2019(改訂第2版)」
  2. 厚生労働省「職場における腰痛予防対策指針及び解説」
  3. National Institute for Health and Care Excellence(NICE)「Low back pain and sciatica in over 16s: assessment and management(NG59)」
  4. World Health Organization(WHO)「WHO guideline for non-surgical management of chronic primary low back pain in adults in primary and community care settings」2023
  5. Yamada T, Demura S.「Influence of the relative difference in chair seat height according to different lower thigh length on floor reaction force and lower-limb strength during sit-to-stand movement」などの立ち上がり動作関連研究


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