ラグビーにおける足関節捻挫は、方向転換や接触プレーが多い競技特性上、頻繁に発生します。特に「内反捻挫」は全捻挫の中でも最多。本記事では、ラグビーで起きやすい捻挫の種類、発生のメカニズム、怪我の瞬間に体内で何が起きているのかを、競技特性と照らし合わせて詳しく解説します。
ラグビーで起きやすい捻挫の種類
内反・外反・高位捻挫の違い
ラグビーはタックルやスクラム、急な方向転換が頻繁に発生するため、足関節への負荷が非常に高い競技です。その中で多く見られるのが以下の3タイプの捻挫です。
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捻挫のタイプ |
特徴 |
主な受傷動作 |
|
内反捻挫 |
足首が内側にねじれる(外側靭帯損傷) |
着地ミス、急なターン |
|
外反捻挫 |
足首が外側に反る(内側靭帯損傷) |
外からの接触や踏まれた時 |
|
高位捻挫 |
脛腓靭帯が損傷 |
足が固定された状態での回旋やねじれ |
中でも内反捻挫は約80%以上の割合を占めるとされており、ジャンプ後の着地失敗や、接触プレー中に足を取られた際によく見られます。
芝の状態・スパイクとの関係
足関節捻挫の発生には、競技環境も大きく関係します。
- 湿った芝や雨天時のグラウンドでは、踏ん張った際に滑ってバランスを崩しやすい。
- スパイクのスタッドの長さやグリップ力によっても、足首への回旋力が増し、捻挫リスクが高まる。
つまり、技術やフィジカルの問題だけでなく、「環境と用具の選択」も重要な予防因子になるのです。
捻挫が起きる瞬間の身体内部の変化
靭帯損傷のメカニズム
足関節は、本来ある程度の柔軟性をもっていますが、想定外の方向や力がかかったとき、靭帯がその力に耐えきれず損傷します。
- 靭帯とは?
足関節の骨と骨をつなぎ、関節の安定性を保つ役割があります。
捻挫は「関節が正常可動域を超えて動いてしまった状態」で、靭帯が伸びたり、裂けたり、最悪の場合は完全断裂に至ります。
Ⅰ度〜Ⅲ度の分類と症状
|
重症度 |
靭帯損傷の状態 |
症状 |
回復目安 |
|
Ⅰ度 |
軽度の伸張 |
軽い腫れ・違和感程度 |
約1週間 |
|
Ⅱ度 |
部分断裂 |
腫れ・皮下出血・歩行困難 |
2〜4週間 |
|
Ⅲ度 |
完全断裂 |
強い腫脹・不安定感・激痛 |
6〜8週間(手術要検討) |
特にⅡ度以上になると、関節の構造的な不安定性が生じ、再発のリスクが一気に高まるため注意が必要です。
実際の症例(ポジション別)
高校ラグビー選手(17歳・ウイング)【スピード型】
- 発症状況:サイドライン際でステップ後にバランスを崩し、右足を内側に捻る。
- 診断:右足関節Ⅱ度内反捻挫(前距腓靭帯の部分断裂)
- 施術前:歩行時痛が強く、松葉杖で来院。
- 施術後:初回施術で松葉杖なしで歩行可能に。階段昇降もできるまで改善。数日後に炎症が軽減し、4週目で実戦復帰。
→ 早期対応と整体施術の連携で予後が良好に。
大学ラグビー選手(20歳・ロック)【接触型】
- 発症状況:スクラムで転倒し、右足がスパイクに引っかかる形で高位捻挫発症。
- 診断:右足関節高位捻挫(脛腓靭帯損傷)
- 施術前:腫れは軽度だが、歩行時の違和感が強く、競技復帰に不安あり。
- 施術後:可動域と安定性が改善し、数回で実践トレーニングに復帰。3週で接触プレー再開
- → 「軽症に見える高リスク捻挫」への正確な対応が奏功。
社会人ラグビー選手(24歳・スクラムハーフ)【俊敏型】
- 発症状況:急停止ステップで左足首を強く内反。
- 診断:左足関節Ⅱ度内反捻挫(部分断裂+骨挫傷疑い)
- 施術前:松葉杖使用、熱感と圧痛が強く可動域制限あり。
- 施術後:初回施術で歩行可能、階段昇降も3日後に回復。2週目よりボールワーク再開。
→ 施術+日常動作改善指導により、パフォーマンス回復も早期実現。
捻挫を放置するリスクとは
関節不安定性と慢性化の問題
一度捻挫をしてしまうと、関節を支える靭帯の弛みや神経の伝達異常により、足首の安定性が損なわれることがあります。
この状態が続くと、
- ふとした日常動作でも再捻挫する
- 足の力が入りづらい
- ジャンプ・方向転換で「不安」を感じる
といった症状が慢性的に出る「慢性足関節不安定症」につながります。
一見軽症でも侮れない理由
- 腫れが少なくても、内部で靭帯が損傷している可能性は十分あります。
- 自己判断で放置すると、関節の構造自体が歪みやすくなり、ケガを繰り返す悪循環に。
特にラグビーのような高負荷・接触競技においては、「少しでも違和感があるならプレーを控える」くらいの慎重さが重要です。
まとめ
足関節捻挫は、ラグビー選手にとって避けて通れないケガの一つですが、その発生メカニズムや種類、放置のリスクを正しく理解しておくことが、将来的なパフォーマンス維持・競技継続の鍵となります。
次回は、「捻挫直後にやるべき正しい処置法と整体による初期対応」について詳しく解説します。
▶ 捻挫の全体像を一気に知りたい方は、[保存版まとめ記事はこちら]( https://pcsrf.com /blog/20251009-3090/)
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